任意整理する前に知っておくべき3つの事実
任意整理を依頼する前に知っておきたい事として、次の3つのテーマでお話します。
- 過払い金がなければ任意整理では借金が減らない?
- 任意整理で凍結されるのは、全ての銀行口座?
- 任意整理後に返済できないとどうなるの?
過払い金がなければ任意整理では借金が減らない?
この質問に対しては、「過払い金がなくても、任意整理によって借金は減額されます」というのが答えです。
確かに、過払い金がある人(10年位前から5年前位前までに借金していた人)の方が、その過払い金を残債に充てれるので借金を劇的に減らす事ができます。
貸金業法改正後に法定金利内でローンを借り入れた人のように過払い金が戻らない場合は、任意整理をしても借金は減らないと思っている人が多いようです。しかし、決してそうではありません。
任意整理手続きの委任された弁護士や司法書士は、債務者の借金返済が少しでも楽になるよう、基本的には次のような交渉を行います。
- 過払い金の有無を確認し、借金額を減らす
- 元金を減らす
- 分割返済期間の延長を交渉する
- 将来分の利息をカットしてもらう
このように過払い金返還の手続きは、交渉テーマの1でしかありません。
つまり、過払い金がない場合でも、元金そのものの減額・将来利息のカット・利息をカットした上での返済期間の延長などの交渉にあたってくれるのです。
債務整理では、将来利息をカットするだけで返済総額は驚くほど減額されます。
しかも、借金後早ければ早いほど削減効果は大きいのです。
具体的に、次のような条件で借り入れたカードローンを「契約どおり完済する場合」と「1年後に債務整理して利息をカットできた場合」のケースで紹介しましょう。
なお、返済期間の短縮は行われなかったものとします。
条件:借入限度額100万円・返済期間60カ月・金利17.8%(プロミスの金利です)
①契約どおり完済する場合は、次のとおり返済額になります。
②1年後に債務整理して利息をカットできた場合
任意整理する時点での借金の状況は次のとおりです。
任意整理により13回以降の利息がカットされると。
当初予定利息517,062円を167,238円返済すればいいことになります。
つまり517,062円-167,238円=349,824円も削減できるのです。
なお、このことで返済期間の変更をしない場合は、月々の返済額も25、284円から約18,000円まで減額できます。
過払い金がないからといって何の取組みをしなければ、返済の苦労は軽減されません。
任意整理に限らず、1日も早く具体的な借金返済の苦労から脱出する取組みをすすめてください。
任意整理で凍結されるのは、全ての銀行口座?
口座凍結とは、銀行の判断によって特定の口座について入出金などのサービスを一時的にできなくするための銀行の措置です。
任意整理の際に、銀行は自行の債権を少しでも多く回収するために、債務者の口座を凍結します。
質問に対しては、「凍結されるのは全ての銀行口座ということではなく、任意整理の対象になっている銀行口座に限定されます」というのが答えです。
任意整理の場合は一部の債務だけを整理することが可能ですから、銀行口座を複数開設して利用していても、任意整理の対象外の銀行口座は対象ではありません。
しかし、注意しなければならないのは、銀行は同じであっても異なる支店の口座の場合です。この場合は、支店が異なっていても同一銀行の口座は全て凍結されます。
なお、銀行のグループ金融機関からの借金を任意整理する場合は、グループ銀行の口座を開設していても、別会社なのでその口座は凍結されません。
口座凍結の流れは、およそ次のとおりです。
- 弁護士や司法書士に債務整理を依頼し、委任契約を締結する。
- 委任を受けた専門家は、債権者に対し「受任通知」を送付する。
- 受任通知を受け取ると取立てをストップさせる。
- 債務者が銀行の場合は、この時点で債務者の口座を凍結する。
凍結した預貯金が銀行債務も足りない場合、銀行は不足分の債権の返済を保証会社に請求します。
請求を受けた保証会社は。債務者に代わって返済を行います(これを代位弁済という)。
この代位弁済が行われることで、債権は銀行から保証会社に移り、債務者にとっては債権者が銀行から保証会社へ異動するのです。
口座凍結の期間は一時的な措置であり銀行によって異なりますが、目安としては1~3カ月といわれています。
一般的に、代位弁済が完了した時点で口座の凍結が解除されるのはケースが多いようです。
解除後は凍結前のようにサービスを受けられますが、口座凍結前には、次のような対策が必要といえるでしょう。
- 預金を全て引き出しておく
- 給与の振込先を変更する
- 家賃、公共料金などの引落口座から変更しておく
任意整理後に返済できないとどうなるの?
まず、質問に対してお答えしましょう。
任意整理後に返済できないと、債権者によって対応が統一されていませんが、多くの債権者では次のように対応しています。
- 一時的に返済できなくなった場合は、相談があれば事情によっては滞納がなかったものとして取り扱う。
- 無断で2カ月以上連続して滞納した場合は、遅延損害金や一括請求を求める。
ただし、②の場合でも事情をキチンと伝えて相談をすれば、以降の支払いを再開することをみとめる債権者がほとんどです。
任意整理の手続きで和解が成立すると、債権者ごとに「和解書」を作成します。
この和解書には、通常「2回分以上の返済を遅滞した場合には、残金を一括で返済しなければならない」といった条文が含まれています。
このことから、契約に違反した場合には原則として「期限の利益喪失」によって分割払いが出来なくなるのです。
任意整理後に返済を2回滞納したからといって、即ペナルティというわけではありません。
諦めることなく可能な限り早く相談し返済を進めていくようにしてください。
滞納後に返済ができないことが分かったら、できるだけ早く任意整理手続きを委任した弁護士や司法書士にまずは相談してください。
滞納する前であれば、弁護士や司法書士から適切なアドバイスを受けられますし債権者への連絡や延滞の依頼をしてもらうこともできます。
それでも今後の返済が出来ない場合は、もう一度任意整理をすることが可能です。
任意整理に回数制限はありません。返済資金を獲得するためにヤミ金に手を出す位ならば、2回目の任意整理を検討するのが1つの方法です。
2回目以降の任意整理となると和解を渋る金融業者は多いのですが、最近では複数回の任意整理を手がける弁護士や司法書士の事務所でも増えています。
また、「任意整理」をあきらめ、「個人再生」か「自己破産」を選ぶのも1つの方法です。
2回目以降の任意整理を弁護士や司法書士に相談する際に、「個人再生」や「自己破産」を選択すべきかどうかを相談してみましょう。
あと、任意整理は手続きを弁護士さん、司法書士さんに代行してもらう外注です。当然、受任してもらう時の費用が変わってきます。
下記コンテンツで費用を詳しく比較しているので見てみて下さい。
債務整理するなら?全国対応型法律事務所の料金比較
過払い金がなければ任意整理では借金が減らない?
・任意整理によって借金は減額される。
・弁護士や司法書士は、債務者の借金返済が楽になるよう次のような交渉を行う。
①過払い金の有無を確認し、借金額を減らす。
②元金を減らす
③分割返済期間の延長を交渉する
④将来分の利息をカットしてもらう。
任意整理で凍結されるのは、全ての銀行口座?
・口座を複数開設して利用していても、任意整理の対象外の銀行口座は対象ではない。
・支店が異なっていても同一銀行の口座は、全て凍結されまる。
・口座凍結前には、次のような対策が必要
①預金を全て引き出しておく。
②給与の振込先を変更する。
③家賃、公共料金などの引落口座から変更しておく。
任意整理後に返済できないとどうなるの?
・債権者によって対応が統一されていないが、多くの債権者では次のように対応している。
①一時的に返済できなくなった場合は、相談があれば事情によっては滞納がなかったものとして取り扱う。
②無断で2カ月以上連続して滞納した場合は、遅延損害金や一括請求を求める。
任意整理から信頼回復までの流れや期間について
ここにいう「信頼回復」とはどのような状態を指すかはさまざま考えられますが、ここでは「ブラック状態での制限や制約から解放された状態」ととらえてお話します。
①任意整理は「和解契約」を結んだ時点で、手続きは完了します。
この和解契約に行き着くまでに弁護士や司法書士と債権者の間では短くて3カ月、長くて1年間くらいの期間を掛け交渉が進められます。
もちろん多重債務で債権者が多い場合や債務者や債権者が容易に和解しないケースでは、債権者ごとに和解契約を結ぶのに時間がかかるとこともあります。
和解案が完成するまで債務者は弁護士や司法書士まかせで、特に何もする必要はありません。
②和解契約に基づいた返済を開始します。
すべての業者と和解が成立したら終了となります。後は、和解内容に基づいて月々の借金返済をしていくだけです。
・返済開始:和解交渉が成立した月の翌月末や翌々月末が返済開始です。
特に法的な定めはないことから、弁護士に居依頼しておけば債権者と交渉して決定してもらえます。
・返済方法:大きくは2通りあり債務者自身が、各債権者に毎月決まった日に振り込む」方法と「法律事務所指定も口座に入金し、法律事務所が各債権者に振り込む(代行弁済)」方法のいずれかです。
・返済期間:任意整理での返済期間は、原則として3年間(36回)が目安ですが、場合によっては5年間(60回)まで可能です。
ただし、債権者の同意があれば5年よりも、さらに数年延長できます。
この期間中は、確実な返済が求められます。
③任意整理のブラック情報が削除される。
任意整理をしたブラック情報は、5年間で削除されるといわれますが、この表現は正確ではありません。
個人信用情報機関によって任意整理についての情報の取り扱いには、次のような違いがあるのです。
JICC:任意整理の情報は、受任通知から和解までの間に登録され、5年間登録されます。
これは、5年を超えて返済している場合でも同じです。したがって、任意整理の支払い中に任意整理の情報が消える可能性もあります。
CIC:特定調停の申立は、信用情報に登録されません(社内データベースには登録されていると思われます)。
KSC:任意整理を登録する区分がありません。しかし、保証会社の代位弁済は5年間登録されます。
④任意整理が削除されると、信用回復です。
ブラック情報が削除された人を俗に「喪明け」とも呼び、これでいよいよ信用回復です。喪明けした人の信用情報は過去の情報が削除されて真っ白になっていることから、「ホワイト」と呼びます。
任意整理ができないケースって?
債務整理の手続きの中で特定調停の利用者は減少を続けていますが、任意整理の利用者は大幅に増加しています。
しかし、任意整理ができないケースも多数発生しています。
ここでは質問への答も兼ねて、任意整理ができないケースについて債務者と債権者の視点からお話します。
任意整理ができないケース(1) 債務者に問題がある場合
①任意整理の要件にあてはまらない場合
債務者が借金の金額・返済状況や返済能力などに問題があれば、別の債務整理手続きを検討しなければなりません。
②3〜5年の間に完済できない場合や無職無収入の場合
債務者は原則3〜5年の間に借金を完済できる返済能力がなければ、任意整理をできません。
③取引期間が非常に短い場合
このような債務整理に応じれば、債権者にとっては、金利ゼロで貸し付けたのと同じことになってしまうからです。
④債務者自身で交渉する場合
手続きは一般に法律の素人と見なされている債務者自身でも可能ですが、交渉に応じない債権者が多いのが実態です。
⑤弁護士や司法書士に断られた場合
相談の段階で債務者との信頼関係が築けないケースや報酬・費用面で調整できず、専門家に断られることがあります。
任意整理ができないケース(2)債権者に問題がある場合
①債権者が任意整理に応じない場合
任意整理では、交渉に応じるかどうかは債権者の判断に委ねられています。次のようはケースでは交渉に応じません。
・特定の弁護士事務所や司法書士事務所からの任意整理(当サイトで掲載している法律事務所の場合は大丈夫です
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②債権者が示す和解条件が厳しい場合
債権者から出される和解条件が、債務者の期待通りとは限りません。その際は、任意整理を諦めざるを得ません。
③任意整理から外す場合
任意整理は債権者ごとに行う手続きですから、和解できない債権者については整理対象からはずさざるを得ません。
任意整理は手続きを弁護士さん、司法書士さんに代行してもらう外注の手続きです。外注費用は依頼先によって変わってきます。
下記で詳しく比較しているので見てみて下さい。電話相談が無料でできるので、相談してみられるのが話が早くていいと思います。
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