奨学金は債務整理できるのか?
奨学金は債務整理できるの?
まず、この質問に対する答から紹介しておきましょう。奨学金も借金の1つですから、債務整理は可能です。
奨学金を債務整理することは可能ですが、債務整理の種類によって違いがありますから、弁護士や司法書士と相談のうえ手続きを決定してください。
ここでは、奨学金と債務整理手続ごとの一般的な関係を紹介しておきましょう。
奨学金と任意整理
奨学金はもともと返済期間が長く年利0~1%くらいの超低金利なので、任意整理をする意味があまりありません。
任意整理だと最長60回(5年間)までの分割払いしか認められないし、日本学生支援機構は元本の減額はもちろんのこと延滞金の免除交渉にも応じてくれないのです。
任意整理をするよりも、任意整理の対象から外して「減額返還申請」などの救済制度利用をおすすめします。
もし返済が困難になった場合は猶予も認められており、「猶予届け」を出せばその1年間の利息は停止し返済の必要もなくなります。
しかもこの猶予は最大10年間可能です。
通常は他の借金だけ任意整理し、奨学金は債務整理の対象から外すのが一般です。
奨学金を借りる時に「機関保証」か「人的保証」かのどちらを選んだかによって違ってきます。
機関保証で借りている場合は、特段の問題は発生しないことから、個人再生が利用する方法も考える事も可能です。
親や親族が連帯保証人の場合は、借金は身内に移動するだけのことですから個人再生が利用されることはなく、次のいずれかの手続きを利用する事になります。
・奨学金は債務整理の対象から除き、他の借金だけを任意整理をする。
・本人と連帯保証人の二人が、一緒に自己破産する。
いずれにしても奨学金の債務整理は可能ですが、奨学金の種類・機関保証か人的保証か・救済制度の有無などによって利用すべき債務整理の手続きの種類は異なります。
奨学金を債務整理できるか
この質問に対しては、「奨学金も借金ですから、債務整理できます」というのが答です。
奨学金はさまざまな団体や組織、自治体なども給付を行っています。
このページでは、昇格金を受給している人数が圧倒的に多いJASSO(独立行政法人日本学生支援機構:平成16年に文部科学省が設立)の奨学金を例に、奨学金を債務整理のお話をします。
債務整理をする場合の手続きの種類ごとのポイントは、次のとおりです。
①任意整理の場合奨学金はどうなるのか?
・返済が困難な場合の債務者救済の特別ルールを設定している。
・低金利設定であることから、元金削減には原則として応じてくれない。
・両親などが保証人の場合、保証人に請求が行われ、保証会社の場合は債務者に請求が良く。
・一般的には、任意整理の対象から除外する。
②個人再生の場合奨学金はどうなるのか?
・JASSOの場合、奨学金の残額を債務者が返済し、免除される奨学金の金額を保証人が返済する。
・両親などが保証人の場合は、一緒に個人再生の必要が発生するケースも多い。
③自己破産の場合奨学金はどうなるのか?
自己破産で免除対象になった奨学金の返済は、保証人や連帯保証人が請求されることになります。保証人には自己破産の効力は及ばないので、保証人の父母や親族に返済義務が生じるのです。
連帯保証人へ債権が移ったときには、「期限の利益損失」により、契約上は一括返済が求められます。
自己破産の際に奨学金はどうなるの?
この質問に対しては、「自己破産をすると全ての借金の返済義務な無くなるので、奨学金も返済しなくてもよくなります」というのが答です。
しかし、注意しておかなければならないことがあります。
それは、債務者が自己破産をした場合、保証人を立てている借金については保証人に借金の支払義務が発生することです。
つまり、債務者は自己破産することで返済義務がなくなりますが、借金をしていない保証人には、債権者から一括返済請求が行われます。
奨学金は、親が保証人になっているケースがほとんどです。
ですから、自己破産すると債務者の奨学金返済は親が肩代わりすることになります。
もし保証人が返済できないということであれば、保証人も自己破産の手続きを利用することになるのです。
こうしたことを避けるために奨学金だけを自己破産手続きの対象外にできればいいのですが、自己破産の手続きでは整理の対象になる借金を選択できません。
これは、個人再生手続きにおいても同じです。
なお、専門家に相談してみなければ明らかになりませんが、債務者の借金や収入の状況によっては、自己破産しなくても任意整理でも返済可能な場合があります。
それが可能であれば、奨学金だけを整理の対象から除外し、他の借金だけを任意整理すればいいのです。
また、奨学金は、その制度の特約などに定める返還期限猶予・減額返還などを利用して返済の軽減を図ります。
いずれにしても、奨学金の債務整理に関しては、弁護士や司法書士への相談をおすすめします。
まとめ 奨学金を債務整理できるのか?
自己破産で奨学金もろとも、借金全部をチャラにしてしまう事は可能です。
ですが、連帯保証人がいて、迷惑になる事を避けたい場合は、奨学金は債務整理の対象外にして、自己破産するのがベストです。
奨学金はもともと返済期間が長く年利0~1%くらいの超低金利なので、債務整理しない方がいい場合が多いです。
・奨学金も借金であり、債務整理可能
・債務整理をする場合の手続きの種類ごとのポイントは、次のとおり。
①任意整理:一般的には、任意整理の対象から除外
②個人再生:免除される奨学金の金額を保証人が返済し奨学金の残額を債務者が返済
③自己破産:「期限の利益損失」により、連帯保証人へ一括返済が求められる。
最近のコメント