自己破産のダメージを解説!差し押さえされる財産はコレ
自己破産する事によるダメージはどのような事があるでしょうか?
債務整理を考えるようになると、自分の場合は任意整理をした方がいいのか、自己破産した方がいいのかで悩んでしまう事ってあると思います。
自己破産する前の自己破産のイメージは、借金が全部ナシになる代わりに何かの職業に就けなくなったり、良く知らないけど社会的なペナルティを受けるのでは?というような不安なイメージしかないと思います。
しかし、自己破産はそんなに悪いものではありません。
デメリットは驚く程小さく、利益効果は莫大です。
今回は、あえて、驚く程小さい自己破産のデメリットについて解説します。
まず、自己破産直後に差し押さえされる財産のお話をして、その後、
ほんのわずかな期間、99万円以下しか持てなくなる期間があるというお話しをしてから、自己破産後にはなれない職業のリストについて解説します。
差押えはどの範囲まで行われるのか?
自己破産手続には2種類あり、「同時廃止」と「管財事件(少額管財)」です。
同時廃止では財産の清算手続を行わないことから、現在所有している財産は全て持ち続けられます。
一方、管財事件の場合、手続開始が決定された時点で所有している財産を「破産財団」と「自由財産」、手続開始後に得た財産を「新得財産」の3つに分類されます。
手順的には、管財事件手続の開始が決定された時点で持っている財産は、全て「破産財団」として差押え対象とされます。
その上で一部の財産については、例外として差押え対象外の「自由財産」に分類されるのです。
では、破産財団でありながら例外として自由財産に分類されるのは、どのような財産でしょう。
『破産法』で自由財産として定められているのは、「99万円以下の現金・差押禁止財産(債権)・拡張が認められる財産」の3つです。
これらに該当する財産は自由財産として差押え対象外とされ、今後も保有し続けられます。
(1)99万円以下の現金:99万円以下の現金は無条件で持ち続けることが認められます。一部の裁判所では「普通預金」も現金相当物として運用されていますが、多くの裁判所では現金に限定しているのが実態です。
(2)差押禁止財産(債権):現金以外にも差押え対象外の財産があり、それが「差押禁止財産」です。
対象財産が多数ある場合でも、その他の財産と合計して「99万円以下の財産(現金を含む)」であれば、裁判官の判断によって差押え対象外の財産と認められる場合もあります。
①差押禁止財産:『民事執行法』131条に14項にわたって規定されている。
- 生活に欠くことのできない衣服、寝具、家具、台所用具、畳
- 実印その他の印で職業や生活に欠かせないもの
- 破産者や親族が受けた勲章やトロフィーなど名誉を表彰するもの
- 義足や義手、身体補足の器具など
②差押禁止債権:『民事執行法』152条、『生活保護法』58条などに規定されている。
(3)拡張が認められる財産:本来、「現金」と「差押禁止財産」にしか認められない自由財産の範囲が、裁判所よって拡張して運用・許可にされている。
「自由財産の拡張」が認められる財産は、裁判所によって微妙に運用が異なるので、詳細は管轄の地方裁判所への確認が必要です。
①拡張が認められる財産
- 預貯金、定期預金
- 保険の解約返戻金
- 自動車
- 退職金債権など
②99万円基準と20万円基準
自由財産である「現金」も含め、1点1点の金額に関係なく「合計額が99万円を超えているかどうか」で判断される基準です。
財産の1点1点の金額が「20万円を超えているかどうか」で判断される基準です。
1点の金額が「20万円を超えている場合は、差し押えられます。
自己破産すると次の職業に就くことができません
弁護士・司法書士・行政書士・弁理士・公認会計士・税理士・宅地建物取引業者・証券会社外務員・生命保険募集員
・警備業者・貸金業者・建設業者などです。
債務整理考えてる人は読んで!自己破産後にはなれない職業のリスト
自己破産の手続を申し立てる要件は借金の額では決まりません
ネット上には「自己破産するなら借金300万円が目安」といった情報がありますが、自己破産の手続を申立ての目安を金額で示すのは避けるべきことです。
自己破産の手続を考えている人たちの返済能力は全く異なるのですから、それらの人の自己破産手続の目安を一定金額で示すことなどできません。
月収10万円の収入しかなく資産もない人にとっては、借金が100万円でも自己破産の申立が可能です。
しかし、月収100万円で現金化できる資産を1,000万円以上も持っている人であれば、借金が500万円あっても自己破産はできません。
破産手続を開始させるための条件は、裁判所に「申立人は支払い不能の状態である」と認められることです。
そのためには以下の3つの要件が求められます。
①債務を返済する能力がないこと
②今後も引き続き返済できないことが明らかであること
③借金の理由がギャンブルのような「免責不許可事由」に該当しないこと
これらの要件を満たしているかどうかで、自己破産ができるかどうかが判断されるのです。
自己破産のダメージを解説!差し押さえされる財産はコレ;まとめ
差押えはどの範囲まで行われるのか
・自己破産手続には「同時廃止」と「管財事件(少額管財)」の2種類ある。
・同時廃止では財産の清算手続を行わないので、現在所有している財産は全て持ち続けられる。
・管財事件では、次の財産以外が差し押さえられる。
・自己破産手続を申し立てる要件は借金の額ではなく、次の3要件を満たすことである。
①債務を返済する能力がないこと
②今後も引き続き返済できないことが明らかであること(現在無職など)
③借金の理由がギャンブルのような「免責不許可事由」に該当しないこと
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