借金に苦しむ人は見て!債務整理について再確認してみよう!
借金に苦しむ人の「最後の手段」として知られている債務整理ですが、手続の内容は意外と理解されていないのが現実のようです。
このページでは、債務整理についての知識を整理していただけるよう、次のテーマでお話します。
債務整理について
- 債務整理について再確認してみよう!
- 債務整理をしても問題はないのか?
- 債務整理に必要な費用
債務整理について再確認してみよう!
債務整理とは、個人の債務を整理して問題解決するための国が認めた法的な手続です。
債務とは借金のことで整理とは減額したりゼロにしたりすることで、債務者を重い負担から解放して新しい生活をスタートさせるきっかけになる手続と言えるでしょう。
債務整理は手続の総称で、「任意整理・特定調停・個人再生・自己破産」の4種類の手続で構成されています。
「任意整理」は裁判所を介さないで債権者と交渉し、借金を3~5年で分割返済できる程度に減額するよう債務者に求め合意を成立させる手続です。
債務整理の中では一番利用されることが多い手続で、近ごろ話題の「過払い金」の有無については、この任意整理の手続を行っている過程で明らかになります。
貸金業者との交渉なので、任意整理は弁護士や司法書士などの専門家に依頼して行うのが一般的です。
「特定調停」は簡易裁判所が行う民事調停の一種で、「調停委員会」が債務減額や返済計画について検討する手続です。
調停委員会が引き直し計算を行い、債務者と債権者に意見を聞いたうえで3~5年程度で借金の返済を終わらせる調停案を示します。
双方が合意すれば調停成立です。
裁判所にある申立用紙を利用して債務者が自力で処理できるので、専門家に依頼する費用がない人にはおすすめの手続です。
「自己破産」は多重債務者のために国がつくった救済措置、とも言うべき手続です。
裁判所から借金を免責してもらうことで借金の支払い義務を免除、つまり借金を「ゼロ」にできます。
自己破産は債務整理の中でも最終手段に位置する手続で、借金が免除されるだけに裁判所での手続きも厳格です。
自己破産の手続は、「破産宣告」と「免責許可」の2つがそろって初めて成立します。
破産宣告は、裁判所から「申立人は支払い能力が皆無である」とみなされた場合に認められるものです。
この決定で申立人は「破産者」と認められますが、それだけでは申立人の借金は消えません。
破産宣告から数カ月かけて、破産の原因に借金をゼロにすることが正義に反する事由(免責不許可事由)があるかどうかが検討されます。
免責不許可事由がなければ裁判所は「免責許可」を決定し、借金が帳消しにされるのです。
「個人再生」は自己破産と同様に裁判所に申立を行い、借金を5分の1程度することで生活を立て直せるようにする手続きです。
原則、借金総額(限度は5,000万円)の20%か100万円で、額が大きいほうを3年間(特別な事情がある場合には5年間)で返済する再生計画を立てます。
この3年間の計画案が裁判所に認可されれば、債務は計画案に記載された額まで減額されます。
そして、3年での分割支払いが終われば、すべての債務がなくなります。
なお、「個人再生」は、マイホームやマイカーを維持しながら借金の減額ができるのが特徴の1つです。
債務整理をしても問題はないのか?
債務整理をすることで発生する問題は、各信用情報機関のデータベースにその情報が登録されることです。
このことを一般には「ブラックリストに載る」と言い、その情報が登録されている期間は、以下のことが難しくなります。
- カードローンの新規借入
- クレジットカードの新規作成
- 住宅や車ローンなど、新規ローンの申込
ブラックリストに載るのは債務整理をしたかどうかではなく、どの手続を行ったかです。
さらに、信用情報機関や手続の種類によって、登録期間に違いがあります。
これを具体的に示す表を紹介してきましょう。
完済後、上記の期間が過ぎれば債務整理のそれぞれの手続の情報は抹消されます。
債務整理の中でも今話題の「過払い金還付請求」とブラックリストの関係は、次のとおりです。
原則として過払い金の返還請求をしたことでブラックリストに載ることはありませんが、例外的にブラックリストに載ることがあります。
ブラックリストに載らないというのは、次の理由からです。
- 契約していたカードローンを完済し解約している場合は、ブラックリストに載せる方法がない
- 2010年1月の金融庁の指導により、過払い金請求をブラックリストに載せることが禁止されている
それにもかかわらず「例外がある」というのは、次のような場合にブラックリストに載る可能性があるのです。
・債務が残っている状態で過払い金請求の引き直し計算をしたが、減少はしたものの債務が残った、というようなケースです。
このようなケースでは、債務整理をしたブラック情報が約5年間信用情報機関に登録されてしまいます。
・債務が残っている状態で過払い金請求をすると、信用情報機関には任意整理による「債務整理」の情報が登録されます(信用情報機関へ登録連絡をするかどうかは、カードローン提供会社によって違いがある)。
この情報は手続が完了すれば抹消されますが、手続中は一時的にブラック状態になります。
上記のように、債務が残っている状態での過払い金請求は例外的にブラックリストに載ることがありますが、完済状態での請求であれば、そうしたことはありません。
債務整理に必要な費用
借金地獄から抜け出すために債務整理をしたくても、費用が心配で債務整理に取り組まない人は多いようです。
債務整理に掛かる費用は、依頼する法律事務所や弁護士・債務者が抱えている借金額などでよって異なります。
弁護士報酬は弁護士会の報酬基準によって一定金額で決まっていましたが、平成16年から自由化され現在は当事者間で決定できる自由報酬です。
しかし、任意整理と過払い金請求に関してだけは、日弁連による「債務整理事件の処理に関する規程」という自由報酬原則の例外の指針があります。
これは借金で苦しんでいる債務者の保護や、一部の法律事務所による行き過ぎた営利目的の取組みを防止するために指針化されたものです。
この日弁連の指針によれば、任意整理(過払い金返還請求を含む)の費目ごとの金額は次のとおりです。
実際の費用は、ここに示した額よりも多い場合や少ない場合があります。相談の際にシッカリと費用を確認することを忘れないでください。
借金に苦しむ人は見て!債務整理について再確認してみよう!:まとめ
債務整理について再確認してみよう!
- 債務整理とは、個人の債務を整理して問題解決するための国が認めた法的な手続
- 手続は「任意整理・特定調停・個人再生・自己破産」の4種類
債務整理をしても問題はないのか?
- 債務整理をすると信用情報機関のデータベースに登録される(ブラックリストに載る)。
- 登録期間は手続の種類によって異なるが5~10年で、その間の新規借入は不可能になる。
- 完済状態で過払い金の返還請求をすれば、そのことでブラックリストに載ることはない。
債務整理に必要な費用
・弁護士費用は平成16年から自由化され、当事者間で決定できる自由報酬です。
・しかし、任意整理と過払い金請求に関してだけは、自由報酬原則の例外で下表のとおり。
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