クレジットカードの引き落としができない!債務整理した方がいい?
クレジットカードの引き落としができない!債務整理した方がいい?
クレジットカードの利用代金は「借金である」とも「立替金であって借金ではない」ともいわれますが、これはあまり意味のあることとは思えません。
商品購入時点から代金支払までの期間はカード利用者には借金といった感覚はないのかもしれませんが、法律上は立替金であっても支払(返済)の必要があるのですから、借金と受け止めるべきでしょう。
借金で困っている人を救済する法的に認められた手段の1つが債務整理です。
このページでは、クレジットカードの支払いに悩んでいる人のために、債務整理について情報提供します。
債務整理の種類とクレジットカードの借金
債務整理とは、借金問題などを司法書士や弁護士に依頼し、借金を減額したり支払いに猶予を持たせたりすることにより、借金のある生活から解放されるよう債権者と交渉するための手続きのことです。
一般には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類の総称とされています(「過払い金請求」「特定調停」を加えて4種類とも5種類とも言われることもある)。
いずれの手続きも司法書士や弁護士が債権者と直接交渉することから、債務者であるカードローン利用者に負担が少ないのが特徴です。
まず、それぞれの手続きを要約して紹介しましょう。
①任意整理
裁判所を介さないで司法書士や弁護士が債権者(銀行・消費者金融・クレジット会社など)と交渉し、金利の引き直しなどで毎月の支払金額を減額して生活に支障のない範囲で支払できるようにする債務整理手続のひとつです。
リスクやデメリットが少ないことから、最も多くの債務者から利用されています。
なお、任意整理で「過払い金」が判明した場合、過払い金請求でそれを取り戻せます。
個人再生(民事再生)
現在の借金が支払困難であることを裁判所に認めてもらい、3~5年で完済できる額まで借金を圧縮する手続きです。継続して収入を得ていることが条件になります。
借金額が5,000万円以下の場合は最低支払額が住宅ローンを除いて最大10分の1まで減額される可能性があります。
個人再生の特徴は、住宅などの財産を維持したまま借金の整理ができ、特定の職業に就けないといった資格制限なども適用されないことです。
③自己破産
財産がないために支払ができないことを裁判所に認めてもらうことで支払を免除してもらう手続きで、借金はなくなるが自分の財産もなくなるハイリスクハイリターンな手続きです。
法律上借金の支払義務が免除されますが、住宅や車などの高価な財産は手放さなければなりません。
しかし手続き完了後の収入は生活費に充てることができます。
また戸籍に記録が残ることや、会社や就職に支障が出たりすることはありません。
こうした債務整理の手続きは、クレジットカードの支払ができなくなった場合にもできるのでしょうか。
「債務整理ができる借金や債務の種類」に関しては、何の制限もありません。
ですから、クレジットカードの支払ができなくなった場合でも、債務整理によって解決させることは可能です。
クレジットカードの債務整理を多数扱った経験のある弁護士などによれば、資金力の乏しい一部の貸金業者を除けばクレジットカード会社は債務整理に協力的な会社が多いので、債務整理はしやすいようです。
クレジットカードのキャッシングの金利は15~18%が相場で、利息制限法の枠内に収まっています。
これでは債務整理をしても支払が楽にはならにように思ってしまいますが、そうではありません。
交渉のプロである弁護士や司法書士は「整理完了後は金利なしの借金に変更する」といったことをクレジットカード会社に交渉してくれるのです。
また債務整理を正式に依頼すると、弁護士や司法書士からクレジットカード会社に「債務整理を始めるという通知(受任通知)」を出すことから、クレジットカード会社からの督促はすぐ止まりますしその日以降の引き落としはかかりません。
債務整理にはこうしたメリットがある反面、大きなデメリットもあります。
それはクレジットカードを使用できなくなることです。
債務整理のメリット・デメリット
債務整理の手続き方法は任意整理、個人再生、自己破産の3種類です。
これらの手続きには、次のようなメリットとデメリットがあります。
(1)全ての債務整理に共通するメリット・デメリット
①メリット
- 借金が「減る」か「無くなる」。
- 弁護士や司法書士が代理人として手続きを進めると、督促の電話やファックスなどが止まる。
- 債権者による訪問などの直接の催促行為も止まる。
- 自己破産の手続きを除き、誰にもバレない。
②デメリット
- 弁護士費用や司法書士費用が必要になる。
- 個人信用情報機関の記録に、債務整理手続を行ったことが載る。
(2)任意整理のメリット・デメリット
①メリット
- 整理対象の業者を特定しで整理できるので、クレジットカードなどを継続できる。
- 整理対象にした業者からの取り立てが止まる。
- 整理中に「過払い金」が判明した場合、過払い金請求でそれを取り戻せる。
- 財産などを差し押さえられる心配がない。
- 家族や会社などにバレない。
②デメリット
- 個人信用情報機関の記録に載り、5年間程度は新規のクレジットカード発行や一切の借入ができない。
- 元金があまり減らない場合がある。
- 金融業者が示談に応じない場合がある。
- 安定した収入を得ていることが手続きの前提になる。
(3)個人再生のメリット・デメリット
①メリット
- 住宅ローンがあっても自宅を手放さなくて済む。
- 借金総額を5分の1もしくは100万円に減額したうえで、3年間で完済できる程度にまで削減できる。
- 自己破産手続きのような、一定の職業や資格などに一時的に就けなくなる資格制限がない。
- 借金の原因がギャンブルや浪費であっても利用できる。
- 保険の解約やマイカーの処分をしないでもいい。
- 弁護士や司法書士などに個人再生を正式に依頼した時点で、債権者の請求が止まる。
②デメリット
- ブラックリストに載ることで、5年程度は新規のクレジットカード発行や一切の借入ができない。
- 裁判所の手続きを経て行われるので公開を差し止めできないし、官報に氏名などが掲載される。
- 債務整理の中では一番手続きが複雑なことから、手間と時間がかかる。
- 一部の債権者だけを対象にした個人再生はできない。
(4)自己破産のメリット・デメリット
①メリット
- 借金の支払義務がすべて免除される。
- 客観的に支払不能と認められる人は、誰でもが利用できる。
- 弁護士や司法書士などに個人再生を正式に依頼した時点で、債権者の請求が止まる。
②デメリット
- ブラックリストに載ることで、5年程度は新規のクレジットカード発行や一切の借入ができない。
- マイホームなどの原則20万円以上の価値のある財産は全て処分される。
- 資格制限があるので、一定の職業や資格などに一時的に就けなくなる。
- ギャンブルや浪費が原因の場合は、免責されないことがある。
- 官報と破産者名簿(市町村の役所で管理されている「破産者」の名簿)に掲載される。
クレジットカードの借金は、債務整理すべきか?
これは、実に悩ましい質問です。
借金の額・借金の原因・増えた理由・現在の収入・支払の可能性など、借金を抱えている当事者の状況によって、さまざまな答えが想定される質問です。
ネット上には「債務整理の手続きをした場合のメリットとデメリットを、天秤にかけたうえで判断する」といったことや、「借金は病気なので、さらに悪化する前に治療(債務整理)すべき」といった記事を見かけます。
しかし借金の問題解決方法は、債務整理だけではありません。
たとえば「まとめローン」や「契約者貸付」などの借り換えも、借金問題の解決に一定の効果を画期します。
しかし、いずれにしても、個人個人で抱える問題の程度や状況に違いがありますから、一概に債務整理をするかしないかをここで論じるのは控えるべきでしょう。
おすすめできることは、借金問題に関する専門家に相談することです。
近ごろは債務整理を含む借金問題の相談に乗ってくれる団体や法人、公的機関が多数ありますので(ネット上に多数紹介されています)、多くの事例を扱ってきたそうしたところで相談することをおすすめします。
また弁護士や司法書士、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会なども専門家として対応してくれますので、そこで相談してみることもおすすめします。
債務整理とクレジットカード:まとめ
債務整理とは、借金を減額したり支払いに猶予を持たせたりすることで、借金のある生活から解放されるよう債権者と交渉するための手続のことです。
- 債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類の総称
- 一般的には司法書士や弁護士に手続きを依頼
債務整理には、全ての手続きに共通する次のようなメリット・デメリットがある。
①メリット
- 借金が「減る」か「無くなる」。
- 弁護士や司法書士が代理人として手続きを始めると、督促の電話やファックスなどが止まる。
- 債権者による訪問などの直接の催促行為も止まる。
- 自己破産の手続きを除き、誰にもバレない。
②デメリット
- 弁護士費用や司法書士費用が必要になる。
- 個人信用情報機関の記録に、債務整理手続きを行ったことが載る。
債務整理すべきかどうか迷った時にすべきこと
- 借金の問題解決策は債務整理だけではありません。他の方策も検討してみる。
- 借金問題の相談に乗ってくれる公的機関、団体や法人、借金問題の専門家である弁護士や司法書士、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会などで相談する。
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