実際届いた督促状から解説!期限の利益とは
期限の利益って何ですか?
デジタル大辞泉によれば、「期限の利益」とは「約束した期限が来るまでは返済しなくてもいい」という債務者の権利のことです。
一定期限の中で分割返済できるという権利でもあり、債権者はこの権利を債務者に与える代わりに利息を受け取ることができる」と解説しています。
つまり、借金は返済期限までは返さなくていい、という債務者に有利な権利のことです。
この権利によって、債権者から期日前に返済するよう言われても、債務者は拒否できます。
債務者に上記のような期限の利益がある代わりに、債権者には利息を受け取る権利があるのです。
債務者はどのようなケースでも期限の利益を得られるのではなく、代表的には次のようなケースで期限の利益を失うことになります。
- 契約に定めた回数にわたって返済日に返済できなかった場合
- 借入申込書に虚偽記載があった場合
- 契約時に当事者同士で取り決めた内容に違反した場合
- 債務者が破産宣告を受けた場合
- 弁護士に債務整理を委任した場合
では、期限の利益の喪失になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
1ヶ月遅れるとこんな督促状が送られてきました。
(注;シロウに送られてきたある会社の督促状を参考にして作りました)通告書
弊社が貴方に対して有する下記の債権につき、本日迄お支払いがありません。つきましては
下記お支払い期限内にご請求金額をご契約のお口座にご入金下さい。
尚お支払いがない場合には、ローンの残高を一括でお支払いいただくことになります。
以上、通告申し上げます。(以下請求金額の表示)
この督促文の中で”ローンの残高を一括でお支払いいただくことになります”とありますがこれはただの脅しです。一ヶ月分を支払えない客に対していきなりに一括での支払いを命じることはありえません。無理な一括請求はトラブルにつながるという事を知っているので遅れた一ヶ月分を支払えば、何も問題ありません。ここから更に1ヶ月半までは延滞しても信用情報機関に名前が載ることはありません。名前が載るのは3ヶ月延滞からです。
2ヶ月遅れるとこんな督促状が送られてきました。
通告書
弊社が貴方に対して有する下記の債権につき、本日迄お支払いがありません。つきましてはかねてより通告致しました通り、
リボルビング及び分割払いによる利用代金の総残高、各種ローンのご利用がある場合にはローン残高を一括にてご請求させていただきます。
貴方の氏名、及び延滞の状況等を弊社が加盟する信用情報機関へ登録すると共に貴方に対する債権を法的手続きをもってご請求させて頂きます事をあらかじめご承知下さい。
ただし、お支払い期限内に下記債権を完済頂ければ上記手続きを回避させて頂きます。以上本書面をもちまして通告させていただきます。
さすがに2ヶ月遅れるといい感じですね(笑)素敵な文章です。
文中”貴殿の氏名、及び延滞の状況等を弊社が加盟する信用情報機関へ登録する”とあります。これが、マズイ!です。
一度三ヶ月延滞の情報が信用情報機関に載ってしまうと、延滞した債権を完済するまで一般のサラ金等の金融機関での借入れができなくなります。
延滞した債権を完済したとしても1年間の間、信用情報機関に過去延滞して、それが解消されたというデータが残ります。
延滞が解消したというデータだけなら貸してくれる金融機関はありますが、やはり審査時には敬遠されるようになり、信用状態は悪化する事になります。
つまり3ヶ月ギリ、いや安全の為に2ヶ月半まではなんとか支払いが滞っても信用情報は傷つきません。
3ヶ月以降の延滞は他社で借りて返済するという自転車操業ができなくなります。それ以上借りようとして他の会社に申込をしても、審査に通らず、徒労に終わるだけになります。
延滞の限界は3ヶ月です。
「期限の利益喪失通知書」が届いたら、まずやるべきことは、通知書の内容と契約内容が一致しているかどうかを確かめることです。
もし内容に違いがある場合は、債権者に通知するとともに、どのように対処すべきかを債権者に相談します。
その後、返済資金がある場合は、指定された期限までに滞納分を支払えば期限の利益喪失の回避が可能です。
しかし、返済資金がなく指定された期限までに滞納分を支払えない場合は、債権者に相談してみることです。
とはいえ債権者が全く相談に応じてくれないことも考えられますし、相談に応じてくれても「支払期限の延期」は認めてくれないこともあります。
そうした場合は、借金問題の専門機関や弁護士・司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。
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