人生の遠くを見渡す方法 貧乏人は貧乏人の中にずっといて、 奪い合っているから自然と騙されるようなシチュエーションから 教訓を得て、猜疑心が強くなる
本を読んでいて、
これはっ!って思ったのがあったので、引用します。
私的にここのトコ一番にビッと来た素晴らしい文章です。
宮本 輝氏の 命の器(講談社文庫)からです。
この本のタイトル名にもなっている”命の器”という
エッセイです。
以下引用です。
”運の悪い人は、運の悪い人と出会ってつながり合っていく。
やくざのもとにはやくざが集まり、へんくつな人はへんくつな人と親しんでいく。
心根の清らかな人は心根の清らかな人と、山師は山師と出会い、そしてつながり合っていく。
じつに不思議なことだと思う。
「類は友を呼ぶ」ということわざが含んでいるものより、もっと奥深い法則が、人と人との出会いを作り出しているとしか思えない。
どうしてあんな品の悪い、いやらしい男のもとに、あんな人の良さそうな美しい女が嫁いだのだろうと、首をかしげたくなるような夫婦がいる。
しかし、そんなカップルをじっくり観察していると、やがて、ああ、なるほどと気づくときがくる。
彼と彼女は、目に見えぬその人間としての基底部に、同じものを有しているのである。
それは性癖であったり、仏教的な言葉を使えば、宿命とか宿業であったりする。
それは事業家にもいえる。
伸びて行く人は、たとえどんなに仲がよくとも、知らず知らずのうちに落ちていく人と疎遠になり、いつのまにか、自分と同じ伸びて行く人とまじわっていく。
不思議としか言いようがない。
企んでそうなるのではなく、知らぬ間に、そのようになってしまうのである。
抗っても(あらがっても)抗っても、自分という人間の核を成すものを共有している人間としか結びついていかない。
その恐さ、その不思議さ。
私は最近、やっとこの人間世界に存在する数ある法則の中のひとつに気づいた。「出会い」が、ひとりの人間の転機と成り得よう。
私の言う事が嘘だと思う人は、自分という人間を徹底的に分析してみるといい。
「出会い」が断じて偶然ではなかったことに気づくだろう。
(中略)どんな人と出会うかは、その人の命の器次第なのだ。”
以上、引用終わりです。
例えば、金持ちは金持ちと付き合っていますが、あれってサイクルめいた目に見えない力が働いているような気がしませんか?
アメリカの心理学者が行った実験によると、実は金持ちの方が、人を信じやすく騙されやすい性格で、かえって貧乏人の方が猜疑心が強く、人を信じにくく、騙されにくいという統計が出ています。
これってつまり、言葉はキツイかもですが、貧乏人は貧乏人の中にずっといて、奪い合っているから自然と騙されるようなシチュエーションから教訓を得て、猜疑心が強くなり、金持ちは逆にそんな事を心配しなくていい生活をしているので、猜疑心が必要のない世界で暮らしているという事なんだと思います。
きっと、私たちのまわりには”環(わ)”があって、それは見えないし、いつもは自分の世界に夢中で意識すらしないものだけども、本当は自分の生活に大きな影響を与えているものなんだとシロウは思います。
日ごろから思うのですが自分が触れ合う人もまた、自分が選んだり、引き寄せたりする人なのですから、自分がいつも毅然と、入り口を作っていれば、そんな運命の環ですら変えていける事もできるんじゃないかと思います。
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