生活保護は、収入が国の定めた基準額に足りない場合に、足りない分だけ助けてもらえる制度です。
その基準額はどれ位なのでしょうか?
たとえば、東京で高校生と中学生の子供がいる4人家族の場合だと、基準額は30万位に設定されています。
家族全体で使える手取りが30万に足りていなければ、、それを満たす額、生活保護を受けられる可能性があるという事になります。
生活保護には他にも支給要件のハードルがありますが、第一のハードルはこの年収のハードルです。4人家族で手取り30万以下、年収にして440万以下ですと、生活保護のレンジの年収という事になります。
また家族の人数が多ければ、冬季加算や、年末一時金の支給も期待できます。
他にも期末一時扶助費として期末に5万6千720円の支給がされます。
また、生活保護が適用されると、住民税を払う必要がなくなります。所得税は一旦納めたあと
収入額より控除されます。水道の基本料も免除になります。
良いことづくめのように思える生活保護ですが、いい事ばかりでもありません。たとえば次のようなデメリットもあります。
①自家用車が持てない。
②保険は解約しなければならない場合がある。
③医療券を使う為、使えない病院もある。
たいていの医院は指定になっているのですが、希に歯科などで使えない場合があります。
④健康保険の資格が喪失する場合がある。
健康保険証がなくても医療券が使えるのですが、健康保険証は持てないので、身分証として健康保険証を使う事ができません。
⑤借金をする事ができません。
生活保護を受けるまでの方法は、窓口で生活保護の相談をし、面接員のアドバイスを実行します。具体的には、持っている資産を売却すること、援助をもらえるよう試みること、他法活用の検討をしたか、収入を得る為の努力をしたか、これらを実行した後に、申請する事になります。その後、2週間ほどで生活保護が開始されるか、申請が却下されます。
どうしても収入を良くできる見込みがない時には、生活保護という方法を検討してみるといいかもしれません。離婚、失業など、収入が激減してしまう場合に特に考えられる必要があると思います。
生活保護受給者は個人再生を利用できますか?
「生活保護受給者は個人再生を利用できません」というのが、この質問に対する答です。
生活保護受給者が個人再生を利用できないのは、次の2つの理由にあるといえます。
・生活保護受給者は個人再生利用の条件を備えていないこと
・生活保護費で借金返済は生活保護制度の趣旨に反すること
以下、この2つの理由を解説します。
①生活保護受給者は個人再生利用の条件を備えていないこと
個人再生は、最大で5分の1まで減額した借金を、再生計画案に従って3~5年間で完済することを前提にした手続きです。ですから、個人再生は「将来に渡って、継続的かつ反復的な収入が見込める債務者」でなければ認可されません。
貸金業界では、生活保護受給者が受給している生活保護費は「安定した収入」とは見なされていなばかりか、無収入者と位置付けています、
そのことから生活保護受給者は支払い能力が著しく低いと判断されており、原則として個人再生を利用することができません。
②生活保護費で借金返済は生活保護制度の趣旨に反すること
生活保護制度は健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度で、そうした生活を援助するために支給されているのが生活保護費です。
生活保護費は「生活する上で最低限必要な金額」しか給付されないことから、それを切り詰めて借金返済に充てることは現実問題として困難ですし、生活保護制度の趣旨に反するといえるでしょう。
以上の2つの理由から、個人再生の申立をしても裁判所は申立を受け付けてくれず、個人再生を利用できません。
では、生活保護受給者が債務整理をする場合、どのようにすればいいのでしょうか?
生活保護受給者が債務整理をする場合は、「自己破産」を選択することになります。
借金を免除してもらえるこの手続きであれば、安定した収入がない人でも利用可能だからです。